インタビュー(民主党さっぽろ新春号) 2000.12.22
- ◆―森政権を見ていると、自民党政治が末期的症状を呈していることがわかりますね。
- 自民党政治が時代のニーズに合わなくなってきていると考えたのが私の政治の原点にありました。自民党は、そのしがらみや体質、選挙をめぐる様々な構造故に大胆な改革をできない、政権交代をしなければ変えられないことがたくさんあると思ったわけです。
それが多くの有権者にも相当程度、浸透してきたのが、長野県知事選挙であり、栃木県知事選挙だったと思います。報道機関の調査によると七割から八割の人が森内閣不支持、支持率は一割です。しかし国会は不信任案を否決しました。国民と国政はこれほどまでに乖離してしまいました。
自民党政権にノーを
加藤政局が一時だけ国民の関心を巻き起こしましたが、有権者不在の自民党内のドタバタ劇に過ぎませんでした。しかし来年の参議院選挙は国民が主役として参加するものです。「自民党じゃダメだ、今の政治を変えたい」という方々に、「民主党がんばれ」という気持ちになっていただけるようがんばります。
街頭や会合での演説、党内の若手の勉強会などで、「このままでは危機的状況だ」とか、「日本は沈没する」ということを何回も何回も言ってきました。しかしそれは脅かしとか、政府与党を批判するための作戦などではありません。危機が確実に日毎に強まっていることを実感しています。
新産業の芽を摘む自民
- ◆―危機の根幹はどこにあるのでしょうか。
- それは第一に財政の問題。破壊されていく環境の問題、そして、それらを変えられないシステムの問題です。 財政赤字を生み出してきたのは、やはり公共事業依存体質だと思います。公共事業が雇用を維持し、地方での経済的な基盤を安定させてきたということを全部否定するわけにはいかないと思いますが、いつまでもそれでけに頼っていることはできないと分かっていながら、みんなが放置してきたわけです。産業構造が変わっていくように、雇用の移動も考えていかなければなりません。
これまで自民党政府は、公共事業に替わる新しい産業の育成を怠ってきたどころか、阻んできた部分があります。米国のようにベンチャー企業を育成するシステムが日本には無いということが言われますが、既得権益にあずかっている人たちだけを優遇するというシステム・規制が新しい産業の成長を阻んできたわけです。安全を守る規制や行き過ぎによるゆがみを防止する規制は必要ですが、いろいろな分野から新しい雇用が生まれてくるような施策をフレキシブルにとっていかなければならないと思います。
利権政治では環境守れぬ
先日、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」でガソリンに変わる抵公害自動車燃料の紹介をしていました。ガソリンや軽油よりもとても環境に優しいものだけれど、国は税金の賦課率を高くして、その流通を抑えようとしているということでした。これは利権構造の中で、石油元売り業界が自民党に多額の政治献金をし、通産省や自民党税制調査会に発言力を持っているからです。
自民党の弱点というのはこういう部分にあったんだと思います。自分たちの票の基盤だけを大切にしてきたのです。それはゼネコンであったり、金融業界であったり、あるいは票を維持するためのバラマキであったり。一部の業界には手厚く手が差し伸べられている一方で、一般の国民は不況の中でしわ寄せを被っている。
環境を守り育てていこうとすれば税制による奨励策を作っていくことは当たり前ですが、それすら利権構造の温存を優先するために実行できないわけです。
当たり前のことが率直に議論されて、国民が納得する方向への改革ができる政府を我々は作っていかなければならないと考えています。
いま、安心が足りない
将来への強い不安を抱えて暮らす国民が急激に増えていることが、各種の調査で明らかになっています。将来がまったく見えない、不安が消えないという状況を一日も早く変えていかなければならないと思います。
ビジネスの分野で言えば、誰もがチャレンジできて、チャレンジに失敗した人が、セイフティネットで守られ、再びチャレンジするチャンスを持つことができる、そんな社会にしなければならないと考えています。
社会保障の分野では、老後や病気になってしまったときには、こういう施策があるから大丈夫だと、そういう安心の部分を充実させていくことが急務です。
悪い情報も出し切る
- ◆―民主党は有権者と政治家の関係自体も変えていこうとしていますね。
- 有権者のみなさんにどのくらいの我慢をしていただくのか、どのくらいの期間、どんなご苦労をおかけするのかとうことを、正直に、有権者の皆さんとキャッチボールしながら相談して、思い切った改革を行っていくということが求められているのだろうと思います。
政治家が上から決める、霞ヶ関が決めるというのがこれまでの、中央集権的な国作りでした。悪い情報、都合の悪い情報を流さないままに、バラマキをするという繰り返しでした。それは有権者を信用しなかったということだと思います。この関係を変えていくのが二十一世紀の政治だと考えています。
例えば負担と給付というのは裏腹ですから、どの程度払って、どの程度受ける、それは国の役割の大きさの問題や、あるいは所得階層的な負担のありかた、社会保障で言えば世代間の負担のありかた。これなどはやはり、有権者のみなさんに決めてもらわなくてはならないと思います。全ての情報を提供しながら、どこを我慢するかということも含めて有権者のみなさんと対話をしていきたいと思います。
今、日本は真の民主主義への脱皮の途中にいるのだと思います。その動きを初当選から現在までの五年間に、ものすごく大きな胎動として聞いているわけです。二十一世紀型民主主義というものを民主党が中心になって構築していきたいのです。
- ◆―当選以来、特に力を注いできたテーマについて聞かせてください。
- 行政改革、地方分権、それから国土環境委員会の理事をやっていたということで環境問題全般に力を入れてきました。
国民一人ひとりの課題
環境問題を考えたときに私は将来を非常に憂えています。地球温暖化の問題は世界各国が協調協力して結論を出す問題ですが、私たち国民一人ひとりが、温暖化に加担しながら生活しているということ、私たち一人ひとりが地球を蝕んでいるのだという認識を深め、みんなの共通課題にしたいと思います。
森林の伐採がどれだけ自然環境に影響を与えていくのか、森林の持つ多面的に機能がどれだけ尊いものか、こんなことも国民の共通認識になるように、さらに努力を重ねていきたいと思います。
二十一世紀の早い段階で、世界が水をめぐって険悪な状態になるだろうとも言われています。森林があるから雨を降らして、貴重な水資源の恵みを受けることができるということについてももっと理解を深めなければならないと思います。
農業や漁業は、山からの養分が川から伝わってはじめて成立するわけですが、そうした恵みがなかなか伝わっていかないようなダムや河川工事の見直しも一層進めなくてはなりません。それから化学物質の問題、ダイオキシン、PCBなどの環境ホルモンの問題も、さらに大きな問題になっていくでしょう。しっかりと対策を強めていく必要があります。
こうした問題は政治的立場で決めるようなことではなく、いかに環境破壊をくい止めていくかという共通の目標に向けて、真剣に議論をしながら、みんなが納得する方向性が得られるような国にしたいと思っています。
人権派弁護士夢見た頃
- ◆―政治家を志したきっかけは。
- 高校時代、弁護士になりたいと思っていたことがあります。自分が本当に何をしたいのかということを真剣に考えた末、人の役にたちたい、とりわけ冤罪に苦しんでいる人を一人でも救うために弁護士になりたいと考えていました。
大学に入るのが一年遅れて、その間は親に迷惑をかけられないとうことで、東京に出て新聞奨学生をやっていました。このとき新聞を隅から隅まで読み、さらにいろんな本を読みました。安全保障や軍縮の本、政治の本もいろいろと読むようになりました。しかし政治家になるというのは、具体的な目標になりにくい時代だったと思います。地盤、看板、カバンなんていうことも本に出てくるし、まぁ、どれもあまりないな、ということで。ただ国の将来を、あるいは法律や政策を決定づける現場に働くことに魅力とやりがいを感じ、政治に携わる仕事がしたいという気持ちを強めていきました。
勉強と議論に明け暮れた
大学に入学したら、迷わず政治研究会というところに入りました。学校の勉強はあまりしなかったのですが、政治の基礎の勉強は相当したつもりです。税制とか行革とか、教育問題とか。テニスサークルやスキーサークルが全盛の時代、私は勉強と議論に明け暮れていました。
恩師から「秘書でもやってチャンスを待ったらどうだ」とアドバイスを受けて、鳩山邦夫衆議院議員の事務所に入って、それで運良く九五年の参議院選挙に出馬したわけです。
出馬までに、誰よりも勉強したつもりでいますし、政治の現場で選挙区のみなさんと対話をしたり、国会周辺でのいろいろな会議や勉強会にも精力的に出ていました。
特に印象的だったのは、細川内閣の連立与党代表者会議でした。当時は小さな会派にいたので、私も事務局スタッフとして各党の幹事長クラスが居並ぶ会合に参加する機会を得ました。政権交代へのほとばしるエネルギーと、政治家の責任感、日本の将来に対する思いというものを見たし、ギリギリのかけひきも目の当たりにしました。これは私の政治への原体験ですね。
こうした勉強や経験を積ませていただいたので、いざ出馬となったときも、与えられたことを演説するということではなくて、自分が心の底から訴えたいことを、自分が実際に体験したことを踏まえて有権者の皆さんに訴えることができたと思っています。
子どもたちのために
- ◆―最後に、政治家としての基本姿勢を聞かせてください。
- それは「今よりも未来」ということだろうと思います。
今の状況を考えたときに、未来に禍根を残す原因を一つひとつ取り除いていきたい。お年寄りから票をたくさん貰いたいからお年寄りに耳障りのいい政治をとる、ということではなく、今日生まれた子どもが人生を終えるまで幸せに過ごせるような国を作りたいと私は思います。これだけ自民党の失敗で国を歪めてきてしまって、誰かがいろいろな負担をしなければならないというとき、ぎりぎりのときには、「今より未来」、そういう選択をせざるを得ないと思います。
今の政治は、その逆ですよね。「未来はどうでもいいから今ある米を食べてしまえ」と。それどころか、まだ生まれもしない子どもたちのキャッシュカードで借金を重ねている状態なわけですから。しっかりと責任を持って将来を見据えた政治をしたい、そう考えています。